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過去に住んだ街の記憶や、そこでの何気ない日常、駅の形、街の雑踏を懐かしく思う。頭の中で過去に訪れた街の記憶を引っ張り出してはなぞるように頭の中で同じ場所をぐるぐると歩き回る。今ここに立っているところの足跡のことを想う。海はわたしがいなくなってもそこにあり続けるように、街も誰かの記憶の一部で、誰かの人生の途中で、そこですれ違う人々の足跡を踏んでいる。そう思うと、幽霊じゃないけれど、常にわたしのまわりに顔のない真っ黒い人間がざわざわと現れてすれ違っているような気がする。

 

たましいのこと 記憶は魂と似ている