今日引っ越しをして、新しく住む家に荷物を移した。一目惚れをしたこの物件は、やっぱり住んでみても居心地が良かった。

ずっと一人暮らしをしたいと望んでいたので、やっとだと思った。入居日が長く押してしまったので、今日の今日を本当にずっと待ち侘びていた。

新しい街のまだ何もかも目新しく感じる感覚とか春の匂いとか、そういうものが一度に押し寄せて、郵便局が近くだったので自転車を少し漕いだ。春の湿気、不安定な気候とか、何か予感めいた空気はこの季節特有でずっと苦手だけど、わたしは近年稀に見る、春らしい出来事ゆえに、その空気と同化してる気がした。普段車移動だから、自転車のスピードとか風がとても心地が良かった。

家族に引っ越しを結局手伝ってもらって、わたしはなんだかんだ恵まれているなぁと思った。それだけどわたしはこの家から離れる必要があって、こういう家族の優しさとはまた別のところでいろんな思いやらなんやらあって。1人で立つにはいろんなものに背中を向ける必要があって、ここ何ヶ月かはわざとそっけなくしたりしていたことを思い出した。家族の優しさがわたしにとっては逆にむず痒いこともあること。

まあそんなことはどうでもよくて。新しい家にと、母が庭に咲いていた水仙を持ってきてくれていた。友達が誕生日プレゼントにくれたタンブラーに挿して。そういうもので、なんとなく今日は孤独を感じなかった。

色々することがまだ立て続けにあり、気持ちが落ち着かない。とりあえず今文通をしている人に、新しい住所から手紙を書きたいと思う。

今のわたしの生活は昔の自分からのプレゼントであり、いろんな時間を経てやっといまこうして、居られる。その幸せを噛み締める。

実家にとりあえず転がり込んでいた時期は、わたしにとってはやっぱり合わなかったと思う。家族と離れてよかったと思う。いまこうして完全に1人になって、心が落ち着いている。1人でもあまり不安ではないのはきっと、それくらい人に頼らないでも、初めてのことでも経験があるからあまり怖くないのだと思う。あの時泣いたり苦しんだりして良かったこともあるとそうやって、思える。